ドラマ 足掻く奴らを笑えー「ロープ~戦場の生命線~」ネタバレ感想ー 「ロープが無いなら、ホームセンターに行けばいいじゃなぁ~い♪」とか言わないであげてください。ここは紛争地帯なので。彼らにとっては、これが当たり前。文句も言わずに、ただ粛々と行動し続ける姿が泣かせます。彼らはやってられないという気持ちを押し殺し、シニカルさや悪ふざけでその日その日を乗り切っていくのです。 2025.01.24 ドラマ戦争
ドラマ 悲しみは、長い時間をかけて届く手紙~映画「雨の日は会えない、晴れた日は君を思う」ネタバレ感想~ とても抒情性があって美しい邦題ですが、実は原題はまったく正反対なイメージの「Demolition(破壊)」なんですね。 この場合の「破壊」は、映画「ファイト・クラブ」でブラット・ピットがやっているアレです。今のクソみたいな人生を徹底的に破壊して、新しいものを創造する。 ブラピがやってるのはほぼ破壊のみで、映画のテイストもだいぶ違いますが…… 描き方が違うだけで、「ファイト・クラブ」と「雨の日は~」は、ほとんど同じテーマを扱っていると思います。 2025.01.05 ドラマ
ドラマ アメリカという辺境に流れるジャズの音~映画「Rainレイン」ネタバレ感想~ 愛が損なわれた人生、そこでもがく人たち。そして静かで哀切な音楽。私が一番好きな小説家、レイモンド・カーヴァーの世界を強く思い出させる映画でした。カーヴァー好きの方はぜひ、絶対にハマります。(この映画はロシアの国民的作家、チェーホフの作品を基... 2024.10.02 ドラマ
ドラマ ~最後に残ったのはサンフランシスコへの愛~「ラスト・ブラックマン・イン・サンフランシスコ」 金持ちの白人だらけになったこの街に、自分は最後の黒人としてしがみついてやる。なぜなら俺は特別な存在だから。 ジミーのプライドや戦う気力、この街はまだ自分には背を向けていないという信念。すべては“祖父が自分で建てた家である”という、その一点にかかっていました。 親友のモントはジミーの信念に敬意を持ち、いつも行動を共にして、あらゆる場面で力を貸してきました。 2024.06.30 ドラマ
コメディ 文学おじいちゃんと魅力的な隣人たち~「ボヴァリー夫人とパン屋」ネタバレ感想~ さて、ジェマの内面は神秘に包まれたままですが、私たち観客はこの映画の中で確かにボヴァリー夫人にそっくりな人物を見つけることができます。 ロマンティストで夢見がち、田舎社会に幻滅し、自分より凡庸だと感じている配偶者とも心を通わすことができず、突如自分の生活に現れた魅力的な年下に夢中になり、その相手とルーアン大聖堂で待ち合わせ…… 2024.06.30 コメディドラマ
ドラマ ラストシーン、おとぎ話の魔法に包まれる~「ファミリー・ビルド 二人のきずな」ネタバレ感想~ 映画でいうと、ファンタジーでもSFでもなく一応現実的なストーリーを追っていたのに、ラストに向けていきなり非現実味が加速していって、魔法みたいなエンディングで終わるという作品には、独特の魅力があります。 2024.06.02 ドラマ
ドラマ なぜ、前へ進まないのか?~「アローンALONE」感想~ 多分この映画が描いているのは、ごくシンプルに「恐怖をどう乗り越えるか」ということだと思うんです。地雷はまさに人がそれぞれ内面に抱えている恐怖の象徴ですね。地面の下に隠れていて、他人からは見えない。でも本人にとって足の下にあるそれは非常に大きな問題で、そのせいで人生を踏み出すことができずに悩んでいる人が大勢います。 2024.03.16 ドラマ
ドラマ 「幸せだ」と思える、その心ほど恐ろしいものはない~「幸福しあわせ」ネタバレ感想~ つまり、フランソワにとっては映画の始まりと終わりを比較して、何も失ったものなどないのです。彼は映画の最後でも完全に“幸福”な状態に置かれています。 一緒にいるのがテレーズだろうとエミリだろうと、それは問題ではない。 自分の妻であり、子ども達の母親であればそれでいい。 ああ、また僕は何一つ欠けることのない、完璧な幸せを手に入れた…と満足しています。 2024.03.16 ドラマ
ドラマ 芸術にとって邪魔なもの~「デリシュ!」ネタバレ感想~ マンスロンは最高の料理を作ることに人生を捧げた男です。彼の生きがいは美食の追求であり、そのためには高級な食材や最高の設備を用意できる、貴族の後ろ盾が必要不可欠なのです。マンスロンにとっては「美食=貴族に提供するもの」というのが当然の認識で、自分自身のためにも公爵の城に戻るしか道はないと考えています。 2024.01.09 ドラマ
ドラマ 権威を、否定しろ~「セッション」ネタバレ感想~ フレッチャーは分かっているのです。最初に持ち上げておいて、いきなりどん底に突き落とすやり方が、相手のメンタルに最もダメージが大きいことを。暴言や暴力というものは確実にエスカレートしていく習性があります。とくに立場の弱い相手に対する虐待は、一度決定的な線を踏み越えてしまうと、もう自分では止められなくなります。(そのあたりの表現はドイツのトラウマ映画「es」の得意とするところ) 2023.12.31 ドラマ