サスペンス

サスペンス

あれ?君たち、ひょっとして何か怒ってる?~「ザ・メニュー」ネタバレ感想~

一見したところはワンシチュエーションスリラーですが。これが笑いに見えないのは、あなたが“彼らの側”、つまり奪う者だからかもしれません。 最近見た映画だと「ソルトバーン」がこれに近い雰囲気だったような。 確実にそこに立ち昇っているのに、奪う者たちは与える側の反逆の狼煙を、それと認めようとしない。 だって自分たちは特権階級だから。そういう気分に浸りきって、危険を察知する本能が鈍ると、こういうことになりますよ、と。
サスペンス

まけいぬたちのいるところ~「ドント・ウォーリー・ダーリン」ネタバレ感想~

ただ最後にもう1点感想として付け加えておきたいのが、なんで男たちが仮想現実の世界に妻を連れて行ったのか、その心理こそがもう情けなさの極致だよねっていう話です。 ただ心地良い夢の世界で生きていくだけなら、別に自分1人でビクトリーしとけばいいわけですよ。
サスペンス

この世界に汚される体験を描く~「ペーパーボーイ 真夏の引力」~ネタバレ感想

それは誰でも大人になる過程で必ず通らなくてはならない通過儀礼で、そこをくぐり抜けたときにどのような人間になっているのかが、その人の本質を決めるといっても過言ではありません。
サスペンス

進むべき道は、女が決める~「ミークス・カットオフ」ネタバレ感想~

男たちは原住民に毛布を差し出し「物々交換だ。これが社会のルールさ」としたり顔で言うのですが……そのルール、本当に相手に伝わってる? 原住民は言葉が通じないうえにミークに暴力を振るわれて心を閉ざしているため、当然何を考えているのか分かりません。 一応どこかに向かって歩き出しますが、向かう先が水のある場所なのか、はたまた危険な原住民たちが待ち受ける場所なのか、それはエミリーたちにはまったく予測できないのです。 原住民が不審な言動をするたびに、自信が揺らぐ男たち。
サスペンス

「ベン・イズ・バック」ー理想の母親像は薬物の力の前では無力ー感想

薬物という悪は大きな力を持っていて、それは母親の我が子への愛情よりも強いのです。ベンはドラッグについて「愛されていると感じ、力がみなぎってくる。母さんですら、僕をそんな気持ちにさせることはできない」と語っています。その力はあまりに強く、ホリーがベンを愛しても愛しても、彼を薬物依存から救うことはできません。その無力感に苛まれたとき、母親はホリーのように盲目的になることで、何とかドラッグと息子との閉ざされた世界の中で自分の立ち位置を確保しようと足掻いてしまうものなのでしょう。
サスペンス

「ゴーン・ガール」ーエイミーみたいな女性ってわりと沢山いるーネタバレ感想

何が怖いって、世間を味方につけるためにあれだけ夫の落ち度を書きたてていたエイミーが、日記の中で不自然なくらいニックの浮気についての記述は避けてるんですよね。ちょろっとでも「どうやら浮気もしているらしい」とでも書いておけば、番組の女性視聴者を100%味方につけられそうなのに。それは絶対に書かない。断固として書かない。
サスペンス

「ザリガニが鳴くところ」ー捕食者を前にしたときの、2つの選択肢ーネタバレ感想

ここまでで上映開始から2時間が過ぎ、映画もほとんど終わりになります。カイアが女性としての幸せを掴むまでを描いた一般的なラブストーリーであれば、無罪になってテイトと一緒になれてめでたしめでたしで終わるところでしょう。しかし、この映画の真のテーマはここからのラスト5分に込められていました。
サスペンス

「ファイトクラブ」ー確かにこれくらいやらないと今の生活は壊せないー感想

「俺たちはライフスタイルに仕える奴隷だ」ー私にとってこの映画は、もうこの一言に尽きます。 映画序盤でマンションの自宅を爆弾でフッ飛ばされ、こだわり抜いた家具や最新家電、高級ブランドの衣類の数々を失った主人公。“パーフェクトな生活”が一瞬で無になって途方に暮れる主人公に、ブラピはこう言い放ちます。 「寝てるあいだに女に×××を切り落とされた男もいる」 主人公はややあっけにとられて「いや、それはそうだけど…」。当然の反応ですよね。笑 でもこれ、ブラピが言いたかったのはお決まりの「アフリカには飢えた子供達が…」的な慰めではなくて、痛みや肉体に比べれば、“物”なんて大したことないだろってことです。