「フラワーショウ!」ーこの映画を観ると、ナチュラル系女子に憧れるー感想

ラブストーリー

アーサー王伝説に夢中になった子供の頃から、ケルトの文化への漠然とした憧れがあります。

長編アニメ‐ション「ブレンダンとケルズの秘密」は、ここ数年目にしたものの中で一番美しかったですね。絵が大好きな私としては、一度でいいから森や木をあんな風に描けたら…もうこの人生に思い残すことはないと思ってしまいます。中世の装飾写本をアニメとして楽しめるなんて、この時代に生まれて本当によかった…お母さん、産んでくれてありがとう。

話を戻すと、この「フラワーショウ!」もそんなケルト文化の香りを感じるモチーフがいっぱいで、私にとっては観ているだけでワクワクできる映画です。日差しを浴びるサンザシの木とか、野草でいっぱいの石造りの庭とか、草花が刺繍された可愛い服とか。

(ストーリー自体は割と平凡な恋と仕事のサクセスストーリーなんですが)世界観が好きで、不思議と何回もリピートしてしまうんですよね。

もちろん、別にケルトとかアイルランドとか園芸とかに興味がなくても、ひたむきに頑張る女の子のストーリーに元気をもらいたい!というだけでも十分楽しめます。「プラダを着た悪魔」とか「キューティーブロンド」とか「ヘアスプレー!」とか、路線としてはあんな感じ。

ナチュラル志向の女子向けおしゃれ映画「フラワーショウ!」の、今回はネタバレなしのほんわか感想いきます。

鑑賞のまえに

2014年製作/アイルランド

時間:100分

監督:ビビアン・デ・コルシィ

出演:エマ・グリーウェル、トム・ヒューズ、など

・頑張る女の子のサクセスストーリー!明るい気分で楽しめます

・イケメンとのラブストーリー要素もあるので、ときめきたい人にもおすすめ

・ケルト文化と野生の花や木の美しさが素晴らしい。それを取り入れた主人公のファッションも見どころです

あらすじ

ガーデンデザイナー志望のメアリーは、アイルランドの田舎で自然と共に育ちました。彼女のデザインは華やかな花ではなく、雑草やサンザシの木など自然の植物を使った神秘的なものでした。メアリーは有名なデザイナーのシャーロットに見込まれてアシスタントになったものの、シャーロットに都合よく利用された挙句にデザインノートを盗まれてクビにされてしまいました。

しかし、メアリーは失意の底から立ち直り、世界最高峰のガーデニングコンテストであるチェルシー・フラワーショーで優勝するという目標を立てます。後援者や協力してくれるチームの仲間を見つけるために奔走する日々。その中で、エチオピアで砂漠を緑化するプロジェクトに参加している植物学者のクリスティにも協力を依頼しますが…

感想

この映画が好きなので感想書きたいな~と思ったのですが、いざパソコンを立ち上げても「はて、私は一体何を書けばいいんだ?」と首をひねってしまいます。

他の映画だと、主人公のこの行動にはこういうメッセージが云々、最終的にこの映画が言いたかったことは云々と色々書きたいことが出てくるんですが…「フラワーショウ!」に関しては「お花がいっぱいで綺麗でした(完)」みたいな感じです。小学生の読書感想文のほうが余程読み応えがあるよ…。

でもストーリーはいたってオーソドックスな若い女の子のサクセスもので、幾多の困難を乗り越えて夢を実現していき、その過程で素敵な彼氏もゲットして…という、これといって目新しいものは何もない映画です(一刀両断)。

あえて言うなら、主人公が途中男を追いかけてエチオピアにいく流れは、盛大な突っ込みどころかな?くらい。(資金集めも全然できてない状況で、今恋愛に力入れちゃう?という感じです)でも私はこの映画が好きですから、批判的なことはあまり書きたくありません。

なので、読書感想文の作成手順に従って、まずは自分がこの映画で好きだったところを箇条書きにしてみました。

  • 野草のありのままの姿を表現した、アイルランドの庭が神秘的で素敵
  • アイルランドやエチオピアの風景が美しく、場所の抒情性を感じる
  • ひたむきで一途な片想いをする主人公が愛おしくなる

うん、何か書けそうな気がしてきた。笑

とりあえず主人公のメアリーはとってもキュートです。すごい美人という感じではなく、映画の前半はむしろ垢抜けない田舎の女の子。でも自分を信じて大きな夢に挑戦する!と決めたあたりから表情もファッションもどんどん魅力的になっていくところは、この手の映画のお約束ですね。

何と言ってもお洋服が可愛いんですよね~。NYあたりの金持ち女性が着てそうな、洗練されたハイブランド服とは真逆の雰囲気。草花の柄や刺繍がいっぱいで、素朴だけどとってもカラフルな色使いは見ていてワクワクします。私はアメリカ映画が好きですが、ファッションは断然イギリス・スコットランド・アイルランドの映画を観てるほうが楽しめますね。「ジェントルメン」の英国紳士の着こなしも、「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」のティーンのファッションも好きでしたが、特にこの映画のメアリーは個性的で、ナチュラル可愛いお洋服の数々に目が釘付けです。

そんなメアリーは1人のイケメンに一目惚れ?して、仕事やチェルシー・フラワーショウへの出場準備で関わっていくうちに、どんどん彼に夢中になっていきます。大好きな彼・クリスティが側にきたときのメアリーの照れ笑いの表情は、着ているお洋服以上に可愛いです。笑

アメリカ映画の恋愛ものだと「最初は嫌なやつだと思ってたけど、いつのまにか好きになっちゃったのよね」的なパターンが多いんですが、メアリーは最初の出会いから「彼って素敵」って完全に目がハートになっています。仕事で嫌なことがあったときも夢を追っかけているときも、一途に彼に片想いをしている様子が伝わってきて、そこに好感が持てるんですよね。素直最強。

心から自然を愛しているがために、商業主義と結びついた園芸の世界には冷ややかな目を向ける彼クリスティ。メアリーは園芸のオリンピック、チェルシー・フラワーショウで優勝するため彼に力を貸してほしいと頼みます。

でも「デザインには興味ないんだ」とあっさり断られ、彼は砂漠の緑化活動のためにエチオピアに行ってしまいます。そんな冷たい彼の態度にもへこたれず「彼を追いかけて私もエチオピアに行く!」と猪突猛進するメアリーがまたまた魅力的なんです。女性はどうも「自分が冷たくしても男が追いかけてくる」というシチュエーションを好むケースが多くて、恋愛映画でもそういう要素をぶっ込んでくるものが多々ありますが…その気取ったやり取りを観てても別に楽しくはないです。笑

やっぱり恋に一途で頑張り屋さんなヒロインのほうが応援したくなるし、観てても元気をもらえる気がするな!

その後メアリーとクリスティのラブストーリーが、エチオピアの雄大な景色を背景に展開していきます。強い日差しや木々の色鮮やかな緑。映画冒頭では少女時代のメアリーがアイルランドの原野を歩くシーンが流れますが、そういったアイルランドの物静かな風景と対比させるかのように、エチオピアの大地はギラギラとした生命の力強さを感じさせます。園芸や緑化活動をテーマにすることで、この2つの国のそれぞれ異なる美しさを表した映像も、この映画の見どころの一つですね。

そして何と言っても、チェルシー・フラワーショウで披露したメアリーの庭が素敵!

円いアーチを通り抜けていくと、そこには木や草が自然のままの姿で風にそよぐ、アイルランドの原風景がありました。人工的なものは苔むした石造りの池と、古代人の玉座のような椅子だけ。庭の主役は白い花をいっぱいに咲かせたサンザシの木で、その神秘的な佇まいを際立たせるデザインは、自然の精霊の存在を信じたケルト人の精神を感じさせます。

以前メアリーとクリスティが一緒に眺めていたチェルシー・フラワーショウの、人工的なフラワーアレンジメントの数々が何てチープに感じることでしょう。私も正直、こういうアートってよく分からないです。同じ色の花をぴっちり並べて幾何学模様を作ったり、花でお城とか動物みたいなのを作ったり…花が持つ美しさを完全に殺してる気がするんですよね。

どんな花も、木や草と一緒に野で自然に咲いている姿が一番綺麗なんじゃないでしょうか。

メアリーの庭からは「花や木を人間の都合で利用するのではなく、もっとリスペクトを持って大切にしよう」という真心が感じられます。

そんなメアリーのスタイルと、他の園芸家たちとの違いが強く印象づけられたのが、フラワーショウの後のパーティーのシーンですね。会場に入ろうとするメアリーとクリスティを制止するガードマン。メアリーはリストに名前がないからと言われ、悲しい気持ちをこらえてその場を去ります。イギリス皇太子を始めとして、パーティー会場ではワインを片手に談笑する金持ち連中の姿が。メアリーの手柄を横取りして涼しい顔をしていたシャーロットと同じで、彼らにとって大切なのは社交界での地位、コネクション、名誉であって、園芸はその手段に過ぎないのでしょう。

そんな世界にあって、心から花や草木を愛しているメアリーの存在は純粋で、美しく光り輝いていました。パーティー会場を門前払いされたメアリーは、クリスティのバイオリンの演奏に合わせて自分の庭でアイルランドの伝説の妖精のように踊ります。この庭の中にいるメアリーは本当に綺麗です。自然の草花以上に女の子を魅力的に見せてくれる装飾なんて無いんですよね、本当は。

メアリーを見ていると、やっぱりナチュラル系女子って可愛いなぁって思っちゃいますね。でもメアリーの魅力は自然を愛する心という内面からくるものなので、もらった鉢植えもすぐ枯らしちゃう私が真似してもね…。とりあえずサボテン1個でも大事に育てることから始めてみようかな…。

この「フラワーショウ!」は実話に基づいていて、ランドスケープデザイナーのメアリー・レイノルズの伝記映画になっています。歴史上の人物とかではなく、今も現役で活躍している人の伝記映画って色々難しそうですが、この作品はまったくの創作って言われても違和感ないくらい、王道のサクセスストーリーで面白かったです。

ちなみに、同じナチュラル系女子でも、映画「ザリガニの鳴くところ」の主人公カイヤは完全創作のキャラクターです。ジャンルは「フラワーショウ!」と同じサクセスストーリー…と、言えなくもない…。

人が死んだり男に裏切られたり殴られたりと、「フラワーショウ!」とは大分テイストの違う作品ですが、こっちも主役の女の子はめっちゃキュート。ナチュラル系女子の研究材料として、鑑賞してみてはいかがでしょう?(思ってた映画と違う!と言われても責任は取れませんが、面白い映画なのは確かだと思います)

あと、アメリカの湿地帯の風景は、アイルランドの野原に負けず劣らず綺麗です。こちらの映画は、ぜひ大画面でどうぞ♪

最後まで読んでいただきありがとうございました♪

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